北海道では、核酸医薬学会が開催されていますね。私は参加しませんが、7月の北海道はいい気候でしょうね。
核酸医薬が日本で初めて承認されましたね。嬉しいことです。SMA(脊髄性筋委縮症)という家族性の疾患に対するアンチセンスオリゴ(ASO)です。この疾患は、常染色体の劣性遺伝(Autosomal Resessive)であり、両親共がキャリアの子供の25%が発症する疾患です。SMAの患者さんはSMN1(Survival of Motor Neuron 1)の遺伝子の欠落によりSMNタンパク質を十分に産生することができません。SMNは運動ニューロンを維持するために必要とされるため、このタンパク質の欠損により、体に力が入らない状態になるとのこと。重症型の場合は、乳幼児に発症し2歳までにほとんどが死亡する。
SMN1の欠損を補うためにスピンラザは、スプライシング制御型のASOを用いています。SMN1類似遺伝子であるSMN2のスプライシングを変えることによってタンパク産生を亢進させています。具体的にASOは、イントロンに結合するスプライシングサイレンサーをブロックすることによって、エキソン7をmRNAへ導入しmRNAの合成を完成させ、タンパク質の産生へと導きます。またこのASOは、2'-O-(2-methoxyethy)(MOE)を用いたホスホロチオエートからなり、髄腔内投与されています。
乳幼児に髄腔内投与は手技の難易度が高いとのことですが、重篤な疾患の患者さんが救われるのは嬉しいことです。
現状の核酸医薬は家族性疾患をターゲットとしているものばかりに感じますが、人間ドックのメニューにゲノム情報を読むような未来がくるならば、個々のcommon diseaseも結局家族性ってことになるのかもしれません。