今日までの3日間、九州大学医学部の100年会館で開催されていた核酸医薬学会の年会に参加してきました。昨年は行けていませんでしたので、全4回中3回の参加です。
今回は、初日の午前中までで490人が参加されているということで、かなり大勢。ポスター会場は、いっぱいで見たいポスターが見れない状態でした。
前回は参加していないので、2年前からの比較になりますが、研究のレベルがかなり上がったと思いました。ちょっと目を話すとあっという間に取り残されてしまいそうという危機感をおぼえました。
お世話になった、東京理科大の和田猛先生が栄えある核酸医薬学会賞を受賞されました。Wave Lifescienceの基盤技術であるキラルなホスホロチオエート核酸の合成についてです。和田先生、おめでとうございます!
今回の年会で印象的だったのは、EPR効果の白黒がつきつつあるということ。
担癌マウスへ投与した場合、EPR効果でナノ粒子が癌にパッシブターゲッティングされ、KDを示すが、ヒトではことごとく失敗。カポジ肉腫ぐらいの血流のある腫瘍でしか使えない!ということが繰り返しの討論で述べられていました。マウスとヒトで違うし、担癌した腫瘍組織ってヒトのがんとは違う!ということですね。今後、アクティブターゲッティングに用いるリガンドの重要性がますます高くなるということですね。
ヒトとマウスと違うところポイントは、CpGオリゴについても述べられていて、げっ歯類と霊長類で免疫系が異なるので、Checkmate PharmaceuticalsのKriegは、マウスの実験は、投資家がやれというからやるけれど、彼のphilothophyではやりたくない。得られるものが少ないというコメントが、私には強烈でした。
個人的に今回、いろんな方とお話ができ、持って行った名刺を使い切ってしまいました。このブログを読んでくださっているという方が話かけて下さったりして、嬉しく思いました。更新が滞りがちで申し訳ありません。今回の投稿は、"化学"の要素が少ないのですが、化学目線で核酸についてゆっくり書いていきたいと思います。