日本新薬の国産初アンチセンス医薬品、ビルトラセンに薬価がつきました。
ビルトラルセン(ビルテプソ)は、エキソンスキッピング型のアンチセンス核酸で、ジストロフィン遺伝子のエキソン53をスキップすることにより、機能するジストロフィンタンパクを発現させるという、教科書的な核酸医薬品です。
薬価は、ビルテプソ点滴静注250 mg、5 mLで91,136円、市場性加算と先駆け審査指定制度加算を含みます。投与量が80 mg/kg、週1回の点滴とかなり多いので、体重30kgくらいの子供さんでも2.4gを静注で投与するという凄まじい事になっています。1年が53週とすると、年間5千万円近くの薬剤費という事になります。原価の計算もweb上に出ていて、本薬剤の薬価算定は、原価計算方式でされており、製品総原価は58,299円で、営業利益10,127円とのこと。全然儲からない。3年後のピーク時で128人、販売金額54億円を予測していますので、10億円/年も儲からないって事になります。ともあれ、核酸医薬品のCMOさんにとっては、定常生産する製品ができ、2.4 g x 53 週 x 128 人 = 約16 kgのモルホリノが毎年生産されるという事になるのですね。すごい事です。
ビルトラルセンに使われているChemistryがモルホリノなので、毒性懸念が極めて少ないとの事で、高い投与量でもシビアな副作用がみられないのかと。添付文書をみると、12時間後までに、血中濃度は、ほぼ0に。24時間後までに92-93%の未変化体が尿中へ排出されたとあります。ほとんど出ちゃうんですね。
核酸医薬品は、やはり原価がどうしても高いので、強い薬効と安全性の両立を目指す必要があると、改めておもいました。