2019年5月28日火曜日

ゾルゲンスマ承認で思うこと。

 FDAがSMAの遺伝子治療薬ゾルゲンスマを承認しました。薬価は、2.3億円。この値段は高い・安い色々な意見があがっていますね。1回の治療で完治するのであれば、私は安いのかなと思います。核酸医薬品のSMA治療薬スピンラザは、1年目は6回投与、2年目以降は3回で、アメリカでの薬価は、1年目8000万円超ですので、明らかにゾルゲンスマは安いです。
 致死性の遺伝性疾患に対して、新たなモダリティにより人命が救われ、子供達が将来を描けるようになることは、素晴らしいことだと思います。どんどん医療が発達して、救われる命が増えることを願います。
 一方、核酸医薬品として初めて商業的に成功したとされるスピンラザはシェアを奪われることになるでしょう、薬価も下がるかもしれません。様々なモダリティが、それぞれに適した疾患に合わせて選択される時代になったということですね。
 


2019年2月19日火曜日

C9orf72-related disorder

ご無沙汰しており申し訳ありません。
今年もどうぞよろしくお願いします。
仕事などなどで、時間が取れず更新滞ってます。すみません。読みたい論文もあるのですが、なかなかです。

特許検索をしていたら、waveの特許が公開されていましたので、共有させてもらいます。
2/14のバレンタインの日に、公開になっていたようです。
本来ならば、斜め読みでもして、レビューっぽくすればよいのですが、2つ同時に公開されているうえ、両方足すと1000ページ。審査官も大変です。いずれもC9orf72に関するもののようです。
これまで、waveの情報はほとんど出てこなかったですが、今後はかなりの内容が学会などでも発表されるのではと楽しみにしています。

wave-1

wave-2




2018年12月8日土曜日

アミダノイト

師匠も走る師走で、ようやく寒くなってきました。寒いと活動が鈍くなるのが嫌です。
最近いろんなところで、ブログしてますか?とお声かけをいただいています。ありがとうございます。ですがなかなか更新できていなくて申し訳ないです、すみません。chemstationの核酸版にするんですか?と言っていただいたりしましたが、時間の余裕がなくて。メジャーなサイトさんはすごいなと思います。

amiditeのカタカナは、アミダイトだと思っていたのですが、色々な方がアミダイドとトが濁っているのを使われているので、google検索してみました(google chrome、シークレットモード)。

アミダイト
約 45,200 件 (0.26 秒)
アミダイド
約 388 件 (0.25 秒)

やはりアミダイトのようです。アミダイドで検索たら、検索で出てくるサイトの上位は特許が多かったです。何かしらの意図があるのかもしれません。

”あみだいと”を漢字に変換すると、”阿弥陀糸”になることはないですか。
そのまま検索すると、阿弥陀の糸という曲が検索されます。

阿弥陀糸
 約 1,860,000 件 (0.40 秒) 

2018年7月発表DracoVirgoの曲だそうです。

お寒いですが、みなさま風邪など引きませんように。









2018年9月2日日曜日

アミダイトの分解反応〜加水分解の先

 核酸オリゴの合成でアミダイトの溶液には、モレキュラーシーブスを入れる派?入れない派?
私は入れる派です。しかもできればペレットを使いたいです。パック詰めの粉のも購入できますが、高い!。ペレットからも粉がでて合成機に吸い込まれるのが嫌ですが、チューブにフィルターをつける派?つけない派?いろいろありますね。
 アミダイトの乾燥があまいと、アクチベーターと混ぜた瞬間に水と反応し、アミダイトが縮合前に加水分解してしまったり、そもそもアミダイト自体がアセトニトリル溶液中で、徐々に加水分解することが考えられますね。加水分解だけが問題となるならば、系中の水が消費されればそれで終わりなのですが、その先の分解反応が実はあんまり知られていません。会社の若手とのディスカッションで、昔読んだ論文のことを思い出しました。
 2004年のNucleosides, Nucleotides & Nucleic AcidsでIsis(現Ionis)のグループがアミダイトの分解反応について報告しています。DNAの標準的なアミダイトをアセトニトリルに溶解させ、経時変化をHPLCで分析しています。0.2 MのG(ibu)のアミダイトの溶液では、純度99%のアミダイトが10日で91.5%まで下がるとのことです。他のA、C、Tではそんなに分解しません。

 アミダイトが加水分解するとCE-H-ホスホネートが生成します。加水分解だけではココで終わりですが、この加水分解で副生するジイソプロピルアミンやアミダイト自体の塩基性で、H-ホスホネートのシアノエチル基がbeta-脱離し、H-ホスホネートモノエステルと、アクリロニトリルが生成します。一旦アクリロニトリルが生成するとアミダイトの分解反応は別のメカニズムで進行し始めます。アミダイトのリン原子がマイケル付加でアクリロニトリル付加体となり、この付加体からO-(2-シアノエチル)部分でさらにbeta-脱離が進行し、アクリロニトリルがまた生成します。つまりアクリロニトリルがアミダイトの分解を触媒し続けるということを示しています。
 この論文では、モレキュラーシーブスを共存させると分解反応は、抑えられるとも報告しています。
 リン周りの立体障害の少ないDNAのアミダイトの話です。より立体障害のあるRNAやLNAなどでは、もう少し安定なのかもしれません。(縮合効率が悪いですし、反応効率も違いますよね。)


 


2018年8月13日月曜日

5価のリン化合物によるキラルなホスホロチオエートDNA合成

 すでにいろんなところで取り上げられているKunouseらのScience誌の論文ですが、本ブログでも取り上げないわけにはいかない極めて重要な論文です。合成だけでScienceに掲載されるのはインパクトとキラルなホスホロチオエートの話題性が高いということですね。Scripps研とBMS(Bristol-Myers Squibb)の共著で、サプリメントの資料も220ページでボリュームたっぷり。タイトルどおり、5価のリン化合物をモノマーユニットとして用いてキラルなホスホロチオエートDNA2量体やオリゴの合成を行なっています。

 リモネンから過酸化水素で酸化して合成したリモネンオキシドを不斉源として不斉リン化合物を合成しています。やはり天然の不斉炭素は重要ですね!。論文では、様々なエポキシを検討したような図が出ていましたが、比較実験のデータは見つけられませんでした。脱離基のSC6F5もしかり。
 得られたリン化合物をDBUの強塩基条件で、5'-水酸基が保護されたヌクレオシドと反応させることによって、3'-水酸基に導入しモノマーユニットとします。
 このユニットをさらにDBU存在下で5'-水酸基が遊離しているヌクレオシ(チ)ドと反応させることにより、ヌクレオチド間の結合がキラルなホスホロチオエートDNAを合成することができます(d.r. >99%)。
 ヌクレオチド2量体のほか、環状のヌクレオチド2量体、オリゴ合成に応用しています。
 素晴らしい!⭐️。

メリットは、
>5価のリンなので、空気酸化や加水分解を受けにくい。
>リモネンから誘導した不斉補助基で工程数が少ない、安い。
>塩基部位が無保護でもいける?。(←DBUでの反応中でアシル型の保護基は脱落している様子)
低分子の不斉ホスホロチオエートDNA合成には、5価のリンが使いやすい。STING、抗ウイルス剤などは、こちらが向いているとのことかな。

これからのところ、
オリゴ合成には縮合収率がいまいち。塩基部の反応性はどうなってるのか?保護基の有無など。
とくに水酸基と同じ求核種のチミジンのO4, グアノシンO6位との反応選択性についてどうなのかと思う。DMTrを活用したオリゴマー合成を考えた時には、塩基部の保護がDBUの条件下でも安定かつ、DMTr除去の酸性条件で安定な、オルソゴナルな保護基が必要なのかなと思いました。
サプリメント資料を真面目に読むと、塩基部アシル型の保護のモノマーを合成しているが、どうも収率があまりDMTr-Bz-A(Rp): 51%、DMTr-Bz-C(Rp): 45%、DMTr-iBu-G(Rp): 30%。それを用いて4塩基を含むオリゴ合成はやっているんだけど、本文には出してない、HPLCデータなし。

Science誌だから仕方ないのかもしれないですが、もう少し化学に関する議論があってもいいのにと思いました。サプリメント読むの疲れました。

2018年7月11日水曜日

シンポジウムレポ〜第4回核酸医薬学会年会

 今日までの3日間、九州大学医学部の100年会館で開催されていた核酸医薬学会の年会に参加してきました。昨年は行けていませんでしたので、全4回中3回の参加です。
今回は、初日の午前中までで490人が参加されているということで、かなり大勢。ポスター会場は、いっぱいで見たいポスターが見れない状態でした。
 前回は参加していないので、2年前からの比較になりますが、研究のレベルがかなり上がったと思いました。ちょっと目を話すとあっという間に取り残されてしまいそうという危機感をおぼえました。
 お世話になった、東京理科大の和田猛先生が栄えある核酸医薬学会賞を受賞されました。Wave Lifescienceの基盤技術であるキラルなホスホロチオエート核酸の合成についてです。和田先生、おめでとうございます!

 今回の年会で印象的だったのは、EPR効果の白黒がつきつつあるということ。
担癌マウスへ投与した場合、EPR効果でナノ粒子が癌にパッシブターゲッティングされ、KDを示すが、ヒトではことごとく失敗。カポジ肉腫ぐらいの血流のある腫瘍でしか使えない!ということが繰り返しの討論で述べられていました。マウスとヒトで違うし、担癌した腫瘍組織ってヒトのがんとは違う!ということですね。今後、アクティブターゲッティングに用いるリガンドの重要性がますます高くなるということですね。
 ヒトとマウスと違うところポイントは、CpGオリゴについても述べられていて、げっ歯類と霊長類で免疫系が異なるので、Checkmate PharmaceuticalsのKriegは、マウスの実験は、投資家がやれというからやるけれど、彼のphilothophyではやりたくない。得られるものが少ないというコメントが、私には強烈でした。
 個人的に今回、いろんな方とお話ができ、持って行った名刺を使い切ってしまいました。このブログを読んでくださっているという方が話かけて下さったりして、嬉しく思いました。更新が滞りがちで申し訳ありません。今回の投稿は、"化学"の要素が少ないのですが、化学目線で核酸についてゆっくり書いていきたいと思います。





2018年5月28日月曜日

RNA neobiology とは、

新年度に入って更新がストップしてました。すみません。

今年度の武田科学振興財団のシンポジウムのタイトルはRNA neobiologyだそうです。RNAが関与する新しい生物学ということなのでしょうか。non-cording RNAによる転写後の翻訳制御もさることながら、Crisper-Casも見つかってあっという間に一般化しましたね。Cas9タンパクの改変などすごいですね。dCas9(切らないCas9)に対して、DNAの脱メチル化酵素と融合タンパクでDNAのメチル化を解除したり、アデノシンやシチヂンの脱アミノ化酵素との融合でピンポイントで遺伝子編集したり、どんどん新たな派生技術が生まれています。これに続くような新しいbiologyの登場に期待ですね。

会期は2019年2月1日(金)2日(土)
6月から受付だそうです。
http://www.takeda-sci.or.jp/business/symposium_info.html
参加費無料、懇親会無料、遠方の方は研修所に宿泊可。宿泊棟でエンドレスの懇親会。ポスター賞50万円。
交通費はかかるけれど、未来ある学生さんには勉強するいい機会だと思います。
自分が学生の時は、目先の交通費の方が大切だった気がします😭。