2018年2月6日火曜日

シンポジウムレポ〜第9回核酸医薬レギュラトリーサイエンスシンポジウム

1月29日に開催された核酸医薬レギュラトリーサイエンスシンポジウムのレポートを簡単にします。

第 9 回核酸医薬レギュラトリーサイエンスシンポジウム
(日本核酸医薬学会 部会サテライトシンポジウム)
核酸医薬創出に資する DNA/ RNA データベース整備 現状と課題

 今回のテーマは、DNA/RNAのデーターベースに関する現状と課題について。たんぱく質をコードする塩基配列はデータベース化されたが、近年見つかったlong non-cording RNAや、RNAのアイソフォームなどについて研究が進むなか、それらのデーターベースかが遅れている。その整備、活用について、日本の公的研究機関や、産業界がどのように取り組むべきか議論されている。レギュラトリーサイエンスということで、毒性を評価するための霊長類(カニクイザル)のデータベース化についても述べられていた。人とは相同性が高いが、霊長類の塩基配列のデータベース化は不十分。


理化学研究所の川路英哉先生らは、FANTOM5の進捗について報告。これまで網羅的に解析されてきたRNAの配列情報は、次世代シークエンサーを十分活用できていない時代のものであり、完全長のcDNA配列が根拠になっている点、解析に用いられてきたRNAは、RNAの調整が容易な細胞(がん)や臓器に限定されていた点、解析者の経験則が用いられている点を指摘。川路先生らは、次世代シークエンサーを活用し、健常人の細胞を中心に網羅的に測定をおこなった。ヒトのトランスクリプトームのデータベース化により20万のプロモーター、6万のエンハンサー、2万のnon-cording RNAを新たに同定した。これまでは、細胞種や臓器特異的なRNA構造(アイソフォーム)は十分に認知されておらず、今後はこれらの情報に基づく研究の進展が期待される。

http://fantom.gsc.riken.jp/5/

ライフサイエンス統合データーベースセンターの内藤雄樹先生らは、開発されたweb toolについて紹介されていました。詳しくはサイトの説明を見てもらいたいですが、簡単に紹介すると。
GGRNA(ぐぐるな): NCBIのRefSeqの転写産物をGoogle 検索のように検索。キーワード、塩基配列、アミノ酸配列での検索に対応。ペプチド鎖からもとの配列が検索できるのはうれしい。
GGGenome(げげげのむ): 塩基配列を高速検索し、ミスマッチ検索に対応。欠失がおおくても見落としが少ない設計。excelなどの表計算ソフトへの埋め込み検索対応。
siDirect: 活性が強く、オフターゲットがすくないsiRNAの配列設計支援。alnylamのTTRのsiRNAの配列も設計上位に出てきたとのこと。
CRISPRdirect: crispr-cas9にもちいるガイドRNA設計支援。植物、菌などの300種類ほどに対応しているとのこと。



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