2月7日、8日に吹田市にある武田薬品研修所で開催された医薬応用を目指したゲノム編集に関するシンポジウム聴講してきました。私自身はそれほど詳しくないので今回はお勉強させていただきました。
第9回武田科学振興財団薬科学シンポジウム
ゲノム編集といえば、CRISPR-Cas9や、TALENなど。触媒活性を持つ核酸-タンパク複合体であるCRISPR-Cas9。RNA鎖だけでは機能せず、タンパク質と複合体を形成することによって触媒活性を示す。最近見つかる新たな機能性核酸は、高機能であるが役者が多くて複雑ですね。今回のCRISPR-Cas9は、内因性のタンパクを使うわけではないのでさらに大変です。siRNAは、RNAだけ細胞に導入すれば内因性のAgoタンパクが機能してくれたから少しはシンプルでした。
というところで核酸化学がCRISPR-Cas9に貢献できる部分が少ないとは思うのですが、CRISPRにも課題はあるので何かしら研究できるかもしれません。
本シンポジウムでもCRISPR-Cas9の制約を解除する試みについて様々な発表がありました。CRISPR-Cas9ではターゲットDNA上にProtospac
adjacent motif (PAM)とよばれる塩基配列が必要であり、-NGG-(Nは任意のヌクレオシドとGGは連続するグアノシン)のすぐ下流配列しかCRISPR-Cas9は機能しない。また、CRISPR-Cas9では目的遺伝子のノックアウト効率は高いが外来遺伝子のノックイン効率が低いなど制約がある。Cas9、ターゲットDNAとgRNAの結晶構造情報からCas9タンパクの改変を行なうことによって、PAM配列の自由向上や、Cas9タンパクの低分子化や、配列認識の精度が高いCas9の開発がおこなわれている(東京大濡木先生ら)。さらには、外来遺伝子導入のため従来用いられているプラスミドDNAではなく、長鎖1本鎖DNAを用いたノックイン効率の向上が検討されていた(大阪大真下先生ら)。
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