2018年5月28日月曜日

RNA neobiology とは、

新年度に入って更新がストップしてました。すみません。

今年度の武田科学振興財団のシンポジウムのタイトルはRNA neobiologyだそうです。RNAが関与する新しい生物学ということなのでしょうか。non-cording RNAによる転写後の翻訳制御もさることながら、Crisper-Casも見つかってあっという間に一般化しましたね。Cas9タンパクの改変などすごいですね。dCas9(切らないCas9)に対して、DNAの脱メチル化酵素と融合タンパクでDNAのメチル化を解除したり、アデノシンやシチヂンの脱アミノ化酵素との融合でピンポイントで遺伝子編集したり、どんどん新たな派生技術が生まれています。これに続くような新しいbiologyの登場に期待ですね。

会期は2019年2月1日(金)2日(土)
6月から受付だそうです。
http://www.takeda-sci.or.jp/business/symposium_info.html
参加費無料、懇親会無料、遠方の方は研修所に宿泊可。宿泊棟でエンドレスの懇親会。ポスター賞50万円。
交通費はかかるけれど、未来ある学生さんには勉強するいい機会だと思います。
自分が学生の時は、目先の交通費の方が大切だった気がします😭。


2018年3月27日火曜日

LNA & 2',4'-BNA その2 合成法

LNA/BNAがどんなルートで合成されているか、核酸をやっている化学者であれば気になるところかなぁと思います。というので、ルートを書いてみました。大変参考になる反応ばかりです。BNA、LNAが初めて報告された際の合成ルートからかなり最適化が進んでいて、特にMs基が5'-OHと4'-CH2OHの両方に入った中間体を経由する事で、1級水酸基の保護基の位置異性体の生成回避ができています。分子内環化するのは、片一方だけです。
ちなみにMs基が2カ所入った誘導体は、購入もできます。
LNAの特許もこの夏切れるそうです。核酸化学も次の時代へ!


2018年3月19日月曜日

2′-Amino-LNA もトランスグリコシル化で

アミノLNAもなかなか有用な核酸の誘導体だとおもいますが、他の修飾体とおなじくプリンヌクレオシドの合成に手間がかかっていました。これは2′-水酸基の反転反応が、ピリミジンヌクレオシドでは確立されているが、プリンヌクレオシドではきびいしいからです。こちらの報告はマイルドな条件で、DMTr基がある基質でも使えるとのこと。
田辺三菱製薬でも研究が進んでいますね。国内でいろんな会社がどんどん核酸の研究をやっているってことですね。

Synthetic Method for 2′-Amino-LNA Bearing Any of the Four Nucleobases via a Transglycosylation Reaction: Synthetic Method for 2′-Amino-LNA Bearing Any of the Four Nucleobases via a Transglycosylation Reaction

追記(2018.3.28)
GuNA(グアニジン架橋型)の特許も公開されていますね(2018.3.23)。
結構なリソースがかかっていますね。
https://patentscope.wipo.int/search/en/detail.jsf?docId=WO2017047816

2018年3月1日木曜日

第4回核酸医薬学会年会開催2018年7月9日〜11日@福岡

第4回となる核酸医薬学会年会が7月に福岡で開催されます。
佐々木先生が年会長として取りまとめられるそうです。
できれば、わたしも参加したいと思っています。お声かけくださいませ。

今回は、託児所が設けられるそうです。女性研究者も多いですので、すごい良い試みなのではと思います。懇親会には子供さんと参加されるのかなぁ?と思いました。
日本核酸医薬学会第4回年会

2018年2月27日火曜日

シンポジウムレポ〜第3回革新的バイオ研究開発シンポジウム

 第3回革新的バイオ研究開発シンポジウム参加のため2月20日に大阪府豊中市の千里ライフサエンスセンターへ行ってきました。意見交換会では、顔見知りの方にお会いしたり、新しい方とお話できたり有意義な時間を過ごせました。わたしをご存知の方に「ブログやってるでしょう?」とお声がけいただきました。読んでいただけるというのは嬉しいものです。
 本シンポジウムは、大阪大学大学院薬学研究科小比賀聡先生主催、日本核酸医薬学会協賛、日本医療研究開発機構(AMED)後援で開催されました。メイントピックは、核酸医薬の開発ステージが進むにつれ問題となる毒性の課題克服に向けた取り組みについて。核酸医薬の毒性回避を目的とした研究が強力に推進されているというところからも、国内での核酸医薬開発のステージが上がっていることが分かりますね。今後がますます楽しみです。
 核酸医薬品を皮下または静脈へ投与した場合、投与後化合物濃度が上昇する肝および腎で毒性問題視されています。毒性回避に向けたさまざまな取り組みは、レギュラトリーサイエンスシンポジウムでも共通しますね。先生方が分類されている核酸毒性の分類図を拝借しました。シンポジウムの中でも何度も登場したので、スタンダードになっている図だと思います。

  • オンターゲット: ターゲット遺伝子に起因した効果であるので、投与量のコントロールにより制御可能。ターゲットによっては毒性マージンが狭いターゲットも存在する。そもそものターゲット選択が悪かった可能性もある。
  • 狭義のオフターゲット: ターゲット遺伝子以外に2本鎖形成することによって毒性が引き起こされる。バイオインフォマティックスを用いることによって目的遺伝子以外の遺伝子に対する2本鎖形成に起因するオフターゲットを予測することができる。最終候補品は、マイクロアレイによる確認も必要との議論。
  • 広義のオフターゲット:タンパク質などへの結合による毒性。TLR3, 7, 8, 9は、核酸を認識する受容体であり、プラットホーム、配列によっては注意する必要がある。デリバリー目的に用いたコンジュゲート分子由来、リポソームの構成成分、不純物など製剤に含まれる様々な要因が考えられている。

大阪大学の小比賀先生は、
「毒性ゼロに向けた革新的核酸医薬プラットホームの構築」というタイトルでご発表されていました。毒性回避のために構築した新たなプラットホームに関する発表で、ギャップマー型アンチセンスオリゴヌクレオチドのタンパク結合に起因する広義のオフターゲット回避に向けた取り組みが発表されていました。プラットホーム構築に向け具体的には、以下の実験が行われていた。
  1. GGGenome、GGRNAを用いた配列検索により、ヒト、マウスの遺伝子と相同性のない配列をピップアップし合成する。(オンターゲット、狭義のオフターゲット作用のない配列選択)
  2. in vitro試験でTLR9のアゴニスト作用のない配列に絞り込む。(広義のオフターゲットのうちのTLR9活性化作用のない配列を選択、TLR9は1本鎖DNAを認識する受容体であるため)
  3. 絞り込まれた配列をマウスに投与することによって、肝臓への毒性のある核酸塩基配列を同定した。(配列は非開示)
 
肝毒性の指標はALT/ASTを使用、マウス投与に用いられた核酸はLNAのホスホロチオエートギャップマー構造3-8-3型であった。得られた配列(HTS-1と命名)window領域(天然型のDNA)の核酸塩基部位に修飾を導入することによって、HTS-1配列で認められたALTの値をオリジナルの1%以下まで低下させることに成功した。核酸塩基部の修飾はピリミジン塩基5位またはプリン7位または8位修飾体を利用している。詳細な構造は非開示であった。

2018年2月23日金曜日

ルクサナバイオテク株式会社設立

大阪大学小比賀先生の技術に基づいた新たな核酸ベンチャーが設立されました。ジーンデザインで活躍されていた佐藤秀昭さんがCEOとしてスタートされます。小比賀先生はBNA/LNAを合成された後も、2'-4'架橋型のヌクレオシドの合成を継続されていて、最近ではアミド結合型のamido-bridged nucleic acid (AmNA)やシクロプロピル基を導入した2'-O,4'-C-Spirocyclopropylene bridged nucleic acid (scpBNA)なども合成されています。これらの技術のほか、最近では塩基部修飾にも注力されています。
今後の活躍に期待します!。


ルクサナバイオテク

シンポジウムレポ〜第9回武田科学振興財団薬科学シンポジウム〜医薬応用を目指したゲノム編集

2月7日、8日に吹田市にある武田薬品研修所で開催された医薬応用を目指したゲノム編集に関するシンポジウム聴講してきました。私自身はそれほど詳しくないので今回はお勉強させていただきました。
第9回武田科学振興財団薬科学シンポジウム
ゲノム編集といえば、CRISPR-Cas9や、TALENなど。触媒活性を持つ核酸-タンパク複合体であるCRISPR-Cas9。RNA鎖だけでは機能せず、タンパク質と複合体を形成することによって触媒活性を示す。最近見つかる新たな機能性核酸は、高機能であるが役者が多くて複雑ですね。今回のCRISPR-Cas9は、内因性のタンパクを使うわけではないのでさらに大変です。siRNAは、RNAだけ細胞に導入すれば内因性のAgoタンパクが機能してくれたから少しはシンプルでした。
というところで核酸化学がCRISPR-Cas9に貢献できる部分が少ないとは思うのですが、CRISPRにも課題はあるので何かしら研究できるかもしれません。
本シンポジウムでもCRISPR-Cas9の制約を解除する試みについて様々な発表がありました。CRISPR-Cas9ではーゲットDNA上にProtospac adjacent motif (PAM)とよばれる塩基配列が必要であり、-NGG-Nは任意のヌクレオシドとGGは連続するグアノシン)のすぐ下流配列しかCRISPR-Cas9は機能しない。また、CRISPR-Cas9では目的遺伝子のノックアウト効率は高いが外来遺伝子のノックイン効率が低いなど制約がある。Cas9、ターゲットDNAgRNAの結晶構造情報からCas9タンパクの改変を行なうことによって、PAM配列の自由向上や、Cas9タンパクの低分子化や、配列認識の精度が高いCas9の開発がおこなわれている(東京大濡木先生ら)。さらには、外来遺伝子導入のため従来用いられているプラスミドDNAではなく、長鎖1本鎖DNAを用いたノックイン効率の向上が検討されていた(大阪大真下先生ら)。