2018年12月8日土曜日

アミダノイト

師匠も走る師走で、ようやく寒くなってきました。寒いと活動が鈍くなるのが嫌です。
最近いろんなところで、ブログしてますか?とお声かけをいただいています。ありがとうございます。ですがなかなか更新できていなくて申し訳ないです、すみません。chemstationの核酸版にするんですか?と言っていただいたりしましたが、時間の余裕がなくて。メジャーなサイトさんはすごいなと思います。

amiditeのカタカナは、アミダイトだと思っていたのですが、色々な方がアミダイドとトが濁っているのを使われているので、google検索してみました(google chrome、シークレットモード)。

アミダイト
約 45,200 件 (0.26 秒)
アミダイド
約 388 件 (0.25 秒)

やはりアミダイトのようです。アミダイドで検索たら、検索で出てくるサイトの上位は特許が多かったです。何かしらの意図があるのかもしれません。

”あみだいと”を漢字に変換すると、”阿弥陀糸”になることはないですか。
そのまま検索すると、阿弥陀の糸という曲が検索されます。

阿弥陀糸
 約 1,860,000 件 (0.40 秒) 

2018年7月発表DracoVirgoの曲だそうです。

お寒いですが、みなさま風邪など引きませんように。









2018年9月2日日曜日

アミダイトの分解反応〜加水分解の先

 核酸オリゴの合成でアミダイトの溶液には、モレキュラーシーブスを入れる派?入れない派?
私は入れる派です。しかもできればペレットを使いたいです。パック詰めの粉のも購入できますが、高い!。ペレットからも粉がでて合成機に吸い込まれるのが嫌ですが、チューブにフィルターをつける派?つけない派?いろいろありますね。
 アミダイトの乾燥があまいと、アクチベーターと混ぜた瞬間に水と反応し、アミダイトが縮合前に加水分解してしまったり、そもそもアミダイト自体がアセトニトリル溶液中で、徐々に加水分解することが考えられますね。加水分解だけが問題となるならば、系中の水が消費されればそれで終わりなのですが、その先の分解反応が実はあんまり知られていません。会社の若手とのディスカッションで、昔読んだ論文のことを思い出しました。
 2004年のNucleosides, Nucleotides & Nucleic AcidsでIsis(現Ionis)のグループがアミダイトの分解反応について報告しています。DNAの標準的なアミダイトをアセトニトリルに溶解させ、経時変化をHPLCで分析しています。0.2 MのG(ibu)のアミダイトの溶液では、純度99%のアミダイトが10日で91.5%まで下がるとのことです。他のA、C、Tではそんなに分解しません。

 アミダイトが加水分解するとCE-H-ホスホネートが生成します。加水分解だけではココで終わりですが、この加水分解で副生するジイソプロピルアミンやアミダイト自体の塩基性で、H-ホスホネートのシアノエチル基がbeta-脱離し、H-ホスホネートモノエステルと、アクリロニトリルが生成します。一旦アクリロニトリルが生成するとアミダイトの分解反応は別のメカニズムで進行し始めます。アミダイトのリン原子がマイケル付加でアクリロニトリル付加体となり、この付加体からO-(2-シアノエチル)部分でさらにbeta-脱離が進行し、アクリロニトリルがまた生成します。つまりアクリロニトリルがアミダイトの分解を触媒し続けるということを示しています。
 この論文では、モレキュラーシーブスを共存させると分解反応は、抑えられるとも報告しています。
 リン周りの立体障害の少ないDNAのアミダイトの話です。より立体障害のあるRNAやLNAなどでは、もう少し安定なのかもしれません。(縮合効率が悪いですし、反応効率も違いますよね。)


 


2018年8月13日月曜日

5価のリン化合物によるキラルなホスホロチオエートDNA合成

 すでにいろんなところで取り上げられているKunouseらのScience誌の論文ですが、本ブログでも取り上げないわけにはいかない極めて重要な論文です。合成だけでScienceに掲載されるのはインパクトとキラルなホスホロチオエートの話題性が高いということですね。Scripps研とBMS(Bristol-Myers Squibb)の共著で、サプリメントの資料も220ページでボリュームたっぷり。タイトルどおり、5価のリン化合物をモノマーユニットとして用いてキラルなホスホロチオエートDNA2量体やオリゴの合成を行なっています。

 リモネンから過酸化水素で酸化して合成したリモネンオキシドを不斉源として不斉リン化合物を合成しています。やはり天然の不斉炭素は重要ですね!。論文では、様々なエポキシを検討したような図が出ていましたが、比較実験のデータは見つけられませんでした。脱離基のSC6F5もしかり。
 得られたリン化合物をDBUの強塩基条件で、5'-水酸基が保護されたヌクレオシドと反応させることによって、3'-水酸基に導入しモノマーユニットとします。
 このユニットをさらにDBU存在下で5'-水酸基が遊離しているヌクレオシ(チ)ドと反応させることにより、ヌクレオチド間の結合がキラルなホスホロチオエートDNAを合成することができます(d.r. >99%)。
 ヌクレオチド2量体のほか、環状のヌクレオチド2量体、オリゴ合成に応用しています。
 素晴らしい!⭐️。

メリットは、
>5価のリンなので、空気酸化や加水分解を受けにくい。
>リモネンから誘導した不斉補助基で工程数が少ない、安い。
>塩基部位が無保護でもいける?。(←DBUでの反応中でアシル型の保護基は脱落している様子)
低分子の不斉ホスホロチオエートDNA合成には、5価のリンが使いやすい。STING、抗ウイルス剤などは、こちらが向いているとのことかな。

これからのところ、
オリゴ合成には縮合収率がいまいち。塩基部の反応性はどうなってるのか?保護基の有無など。
とくに水酸基と同じ求核種のチミジンのO4, グアノシンO6位との反応選択性についてどうなのかと思う。DMTrを活用したオリゴマー合成を考えた時には、塩基部の保護がDBUの条件下でも安定かつ、DMTr除去の酸性条件で安定な、オルソゴナルな保護基が必要なのかなと思いました。
サプリメント資料を真面目に読むと、塩基部アシル型の保護のモノマーを合成しているが、どうも収率があまりDMTr-Bz-A(Rp): 51%、DMTr-Bz-C(Rp): 45%、DMTr-iBu-G(Rp): 30%。それを用いて4塩基を含むオリゴ合成はやっているんだけど、本文には出してない、HPLCデータなし。

Science誌だから仕方ないのかもしれないですが、もう少し化学に関する議論があってもいいのにと思いました。サプリメント読むの疲れました。

2018年7月11日水曜日

シンポジウムレポ〜第4回核酸医薬学会年会

 今日までの3日間、九州大学医学部の100年会館で開催されていた核酸医薬学会の年会に参加してきました。昨年は行けていませんでしたので、全4回中3回の参加です。
今回は、初日の午前中までで490人が参加されているということで、かなり大勢。ポスター会場は、いっぱいで見たいポスターが見れない状態でした。
 前回は参加していないので、2年前からの比較になりますが、研究のレベルがかなり上がったと思いました。ちょっと目を話すとあっという間に取り残されてしまいそうという危機感をおぼえました。
 お世話になった、東京理科大の和田猛先生が栄えある核酸医薬学会賞を受賞されました。Wave Lifescienceの基盤技術であるキラルなホスホロチオエート核酸の合成についてです。和田先生、おめでとうございます!

 今回の年会で印象的だったのは、EPR効果の白黒がつきつつあるということ。
担癌マウスへ投与した場合、EPR効果でナノ粒子が癌にパッシブターゲッティングされ、KDを示すが、ヒトではことごとく失敗。カポジ肉腫ぐらいの血流のある腫瘍でしか使えない!ということが繰り返しの討論で述べられていました。マウスとヒトで違うし、担癌した腫瘍組織ってヒトのがんとは違う!ということですね。今後、アクティブターゲッティングに用いるリガンドの重要性がますます高くなるということですね。
 ヒトとマウスと違うところポイントは、CpGオリゴについても述べられていて、げっ歯類と霊長類で免疫系が異なるので、Checkmate PharmaceuticalsのKriegは、マウスの実験は、投資家がやれというからやるけれど、彼のphilothophyではやりたくない。得られるものが少ないというコメントが、私には強烈でした。
 個人的に今回、いろんな方とお話ができ、持って行った名刺を使い切ってしまいました。このブログを読んでくださっているという方が話かけて下さったりして、嬉しく思いました。更新が滞りがちで申し訳ありません。今回の投稿は、"化学"の要素が少ないのですが、化学目線で核酸についてゆっくり書いていきたいと思います。





2018年5月28日月曜日

RNA neobiology とは、

新年度に入って更新がストップしてました。すみません。

今年度の武田科学振興財団のシンポジウムのタイトルはRNA neobiologyだそうです。RNAが関与する新しい生物学ということなのでしょうか。non-cording RNAによる転写後の翻訳制御もさることながら、Crisper-Casも見つかってあっという間に一般化しましたね。Cas9タンパクの改変などすごいですね。dCas9(切らないCas9)に対して、DNAの脱メチル化酵素と融合タンパクでDNAのメチル化を解除したり、アデノシンやシチヂンの脱アミノ化酵素との融合でピンポイントで遺伝子編集したり、どんどん新たな派生技術が生まれています。これに続くような新しいbiologyの登場に期待ですね。

会期は2019年2月1日(金)2日(土)
6月から受付だそうです。
http://www.takeda-sci.or.jp/business/symposium_info.html
参加費無料、懇親会無料、遠方の方は研修所に宿泊可。宿泊棟でエンドレスの懇親会。ポスター賞50万円。
交通費はかかるけれど、未来ある学生さんには勉強するいい機会だと思います。
自分が学生の時は、目先の交通費の方が大切だった気がします😭。


2018年3月27日火曜日

LNA & 2',4'-BNA その2 合成法

LNA/BNAがどんなルートで合成されているか、核酸をやっている化学者であれば気になるところかなぁと思います。というので、ルートを書いてみました。大変参考になる反応ばかりです。BNA、LNAが初めて報告された際の合成ルートからかなり最適化が進んでいて、特にMs基が5'-OHと4'-CH2OHの両方に入った中間体を経由する事で、1級水酸基の保護基の位置異性体の生成回避ができています。分子内環化するのは、片一方だけです。
ちなみにMs基が2カ所入った誘導体は、購入もできます。
LNAの特許もこの夏切れるそうです。核酸化学も次の時代へ!


2018年3月19日月曜日

2′-Amino-LNA もトランスグリコシル化で

アミノLNAもなかなか有用な核酸の誘導体だとおもいますが、他の修飾体とおなじくプリンヌクレオシドの合成に手間がかかっていました。これは2′-水酸基の反転反応が、ピリミジンヌクレオシドでは確立されているが、プリンヌクレオシドではきびいしいからです。こちらの報告はマイルドな条件で、DMTr基がある基質でも使えるとのこと。
田辺三菱製薬でも研究が進んでいますね。国内でいろんな会社がどんどん核酸の研究をやっているってことですね。

Synthetic Method for 2′-Amino-LNA Bearing Any of the Four Nucleobases via a Transglycosylation Reaction: Synthetic Method for 2′-Amino-LNA Bearing Any of the Four Nucleobases via a Transglycosylation Reaction

追記(2018.3.28)
GuNA(グアニジン架橋型)の特許も公開されていますね(2018.3.23)。
結構なリソースがかかっていますね。
https://patentscope.wipo.int/search/en/detail.jsf?docId=WO2017047816

2018年3月1日木曜日

第4回核酸医薬学会年会開催2018年7月9日〜11日@福岡

第4回となる核酸医薬学会年会が7月に福岡で開催されます。
佐々木先生が年会長として取りまとめられるそうです。
できれば、わたしも参加したいと思っています。お声かけくださいませ。

今回は、託児所が設けられるそうです。女性研究者も多いですので、すごい良い試みなのではと思います。懇親会には子供さんと参加されるのかなぁ?と思いました。
日本核酸医薬学会第4回年会

2018年2月27日火曜日

シンポジウムレポ〜第3回革新的バイオ研究開発シンポジウム

 第3回革新的バイオ研究開発シンポジウム参加のため2月20日に大阪府豊中市の千里ライフサエンスセンターへ行ってきました。意見交換会では、顔見知りの方にお会いしたり、新しい方とお話できたり有意義な時間を過ごせました。わたしをご存知の方に「ブログやってるでしょう?」とお声がけいただきました。読んでいただけるというのは嬉しいものです。
 本シンポジウムは、大阪大学大学院薬学研究科小比賀聡先生主催、日本核酸医薬学会協賛、日本医療研究開発機構(AMED)後援で開催されました。メイントピックは、核酸医薬の開発ステージが進むにつれ問題となる毒性の課題克服に向けた取り組みについて。核酸医薬の毒性回避を目的とした研究が強力に推進されているというところからも、国内での核酸医薬開発のステージが上がっていることが分かりますね。今後がますます楽しみです。
 核酸医薬品を皮下または静脈へ投与した場合、投与後化合物濃度が上昇する肝および腎で毒性問題視されています。毒性回避に向けたさまざまな取り組みは、レギュラトリーサイエンスシンポジウムでも共通しますね。先生方が分類されている核酸毒性の分類図を拝借しました。シンポジウムの中でも何度も登場したので、スタンダードになっている図だと思います。

  • オンターゲット: ターゲット遺伝子に起因した効果であるので、投与量のコントロールにより制御可能。ターゲットによっては毒性マージンが狭いターゲットも存在する。そもそものターゲット選択が悪かった可能性もある。
  • 狭義のオフターゲット: ターゲット遺伝子以外に2本鎖形成することによって毒性が引き起こされる。バイオインフォマティックスを用いることによって目的遺伝子以外の遺伝子に対する2本鎖形成に起因するオフターゲットを予測することができる。最終候補品は、マイクロアレイによる確認も必要との議論。
  • 広義のオフターゲット:タンパク質などへの結合による毒性。TLR3, 7, 8, 9は、核酸を認識する受容体であり、プラットホーム、配列によっては注意する必要がある。デリバリー目的に用いたコンジュゲート分子由来、リポソームの構成成分、不純物など製剤に含まれる様々な要因が考えられている。

大阪大学の小比賀先生は、
「毒性ゼロに向けた革新的核酸医薬プラットホームの構築」というタイトルでご発表されていました。毒性回避のために構築した新たなプラットホームに関する発表で、ギャップマー型アンチセンスオリゴヌクレオチドのタンパク結合に起因する広義のオフターゲット回避に向けた取り組みが発表されていました。プラットホーム構築に向け具体的には、以下の実験が行われていた。
  1. GGGenome、GGRNAを用いた配列検索により、ヒト、マウスの遺伝子と相同性のない配列をピップアップし合成する。(オンターゲット、狭義のオフターゲット作用のない配列選択)
  2. in vitro試験でTLR9のアゴニスト作用のない配列に絞り込む。(広義のオフターゲットのうちのTLR9活性化作用のない配列を選択、TLR9は1本鎖DNAを認識する受容体であるため)
  3. 絞り込まれた配列をマウスに投与することによって、肝臓への毒性のある核酸塩基配列を同定した。(配列は非開示)
 
肝毒性の指標はALT/ASTを使用、マウス投与に用いられた核酸はLNAのホスホロチオエートギャップマー構造3-8-3型であった。得られた配列(HTS-1と命名)window領域(天然型のDNA)の核酸塩基部位に修飾を導入することによって、HTS-1配列で認められたALTの値をオリジナルの1%以下まで低下させることに成功した。核酸塩基部の修飾はピリミジン塩基5位またはプリン7位または8位修飾体を利用している。詳細な構造は非開示であった。

2018年2月23日金曜日

ルクサナバイオテク株式会社設立

大阪大学小比賀先生の技術に基づいた新たな核酸ベンチャーが設立されました。ジーンデザインで活躍されていた佐藤秀昭さんがCEOとしてスタートされます。小比賀先生はBNA/LNAを合成された後も、2'-4'架橋型のヌクレオシドの合成を継続されていて、最近ではアミド結合型のamido-bridged nucleic acid (AmNA)やシクロプロピル基を導入した2'-O,4'-C-Spirocyclopropylene bridged nucleic acid (scpBNA)なども合成されています。これらの技術のほか、最近では塩基部修飾にも注力されています。
今後の活躍に期待します!。


ルクサナバイオテク

シンポジウムレポ〜第9回武田科学振興財団薬科学シンポジウム〜医薬応用を目指したゲノム編集

2月7日、8日に吹田市にある武田薬品研修所で開催された医薬応用を目指したゲノム編集に関するシンポジウム聴講してきました。私自身はそれほど詳しくないので今回はお勉強させていただきました。
第9回武田科学振興財団薬科学シンポジウム
ゲノム編集といえば、CRISPR-Cas9や、TALENなど。触媒活性を持つ核酸-タンパク複合体であるCRISPR-Cas9。RNA鎖だけでは機能せず、タンパク質と複合体を形成することによって触媒活性を示す。最近見つかる新たな機能性核酸は、高機能であるが役者が多くて複雑ですね。今回のCRISPR-Cas9は、内因性のタンパクを使うわけではないのでさらに大変です。siRNAは、RNAだけ細胞に導入すれば内因性のAgoタンパクが機能してくれたから少しはシンプルでした。
というところで核酸化学がCRISPR-Cas9に貢献できる部分が少ないとは思うのですが、CRISPRにも課題はあるので何かしら研究できるかもしれません。
本シンポジウムでもCRISPR-Cas9の制約を解除する試みについて様々な発表がありました。CRISPR-Cas9ではーゲットDNA上にProtospac adjacent motif (PAM)とよばれる塩基配列が必要であり、-NGG-Nは任意のヌクレオシドとGGは連続するグアノシン)のすぐ下流配列しかCRISPR-Cas9は機能しない。また、CRISPR-Cas9では目的遺伝子のノックアウト効率は高いが外来遺伝子のノックイン効率が低いなど制約がある。Cas9、ターゲットDNAgRNAの結晶構造情報からCas9タンパクの改変を行なうことによって、PAM配列の自由向上や、Cas9タンパクの低分子化や、配列認識の精度が高いCas9の開発がおこなわれている(東京大濡木先生ら)。さらには、外来遺伝子導入のため従来用いられているプラスミドDNAではなく、長鎖1本鎖DNAを用いたノックイン効率の向上が検討されていた(大阪大真下先生ら)。

WaveとTakedaが中枢疾患領域でコラボレーション

プレスリリースが出てました。
Wave頑張ってますね。先日の核酸化学会でもハンチントン病の臨床試験について順調との発表がありましたが、武田が喰いつきましたね。武田薬品は、トランスフォーメーションということで、がん(Onc)、消化器系疾患(GI)、中枢神経系疾患(CNS)の3つとワクチンに絞るとともに、研究開発拠点をグローバルに再編・集約すると2016年7月29日に発表しています。その中でこれまで武田(国内製薬メーカー全般ですが)が得意としてきた低分子創薬が活躍できそうな領域としてCNSを残したという理解でした。低分子には他のモダリティと比較してBlood Brain Barrier (BBB、血液脳関門)透過の優位点があるからです。私の理解に反して、武田薬品がCNSに核酸のパイプラインを拡充するというのはかなり意外でした。CNS領域の核酸医薬といえば、昨年国内初で承認された脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬スピンラザがありますが、こちらは髄腔内投与(intrathecally)されています。今回のハンチントン治療薬WVE-120101WVE-120102の両方とも髄腔内投与のようです。髄腔内投与にも課題はいろいろあると思いますが、モダリティの変化は、中枢=BBB透過=低分子という従来の考え方も吹き飛ばせるのかもしれません。
今回のプレスリリースを見る限りですが、武田薬品はWaveとのコラボで核酸をどんどんやるというよりも、CNS領域のパイプライン拡充が主目的のように感じられました。

Wave Life Sciences and Takeda Form Global Strategic Collaboration to Advance Therapies for Central Nervous System Disorders

2018年2月6日火曜日

シンポジウムレポ〜第9回核酸医薬レギュラトリーサイエンスシンポジウム

1月29日に開催された核酸医薬レギュラトリーサイエンスシンポジウムのレポートを簡単にします。

第 9 回核酸医薬レギュラトリーサイエンスシンポジウム
(日本核酸医薬学会 部会サテライトシンポジウム)
核酸医薬創出に資する DNA/ RNA データベース整備 現状と課題

 今回のテーマは、DNA/RNAのデーターベースに関する現状と課題について。たんぱく質をコードする塩基配列はデータベース化されたが、近年見つかったlong non-cording RNAや、RNAのアイソフォームなどについて研究が進むなか、それらのデーターベースかが遅れている。その整備、活用について、日本の公的研究機関や、産業界がどのように取り組むべきか議論されている。レギュラトリーサイエンスということで、毒性を評価するための霊長類(カニクイザル)のデータベース化についても述べられていた。人とは相同性が高いが、霊長類の塩基配列のデータベース化は不十分。


理化学研究所の川路英哉先生らは、FANTOM5の進捗について報告。これまで網羅的に解析されてきたRNAの配列情報は、次世代シークエンサーを十分活用できていない時代のものであり、完全長のcDNA配列が根拠になっている点、解析に用いられてきたRNAは、RNAの調整が容易な細胞(がん)や臓器に限定されていた点、解析者の経験則が用いられている点を指摘。川路先生らは、次世代シークエンサーを活用し、健常人の細胞を中心に網羅的に測定をおこなった。ヒトのトランスクリプトームのデータベース化により20万のプロモーター、6万のエンハンサー、2万のnon-cording RNAを新たに同定した。これまでは、細胞種や臓器特異的なRNA構造(アイソフォーム)は十分に認知されておらず、今後はこれらの情報に基づく研究の進展が期待される。

http://fantom.gsc.riken.jp/5/

ライフサイエンス統合データーベースセンターの内藤雄樹先生らは、開発されたweb toolについて紹介されていました。詳しくはサイトの説明を見てもらいたいですが、簡単に紹介すると。
GGRNA(ぐぐるな): NCBIのRefSeqの転写産物をGoogle 検索のように検索。キーワード、塩基配列、アミノ酸配列での検索に対応。ペプチド鎖からもとの配列が検索できるのはうれしい。
GGGenome(げげげのむ): 塩基配列を高速検索し、ミスマッチ検索に対応。欠失がおおくても見落としが少ない設計。excelなどの表計算ソフトへの埋め込み検索対応。
siDirect: 活性が強く、オフターゲットがすくないsiRNAの配列設計支援。alnylamのTTRのsiRNAの配列も設計上位に出てきたとのこと。
CRISPRdirect: crispr-cas9にもちいるガイドRNA設計支援。植物、菌などの300種類ほどに対応しているとのこと。



2018年1月22日月曜日

第3回革新的バイオ研究開発シンポジウム開催予定2月20日

第3回革新的バイオ研究開発シンポジウムが開催されます。
日時: 2月20日
会場: 千里ライフサイエンスセンター サイエンスホール
課題も多い核酸の医薬品利用ですが、最新の臨床研究や毒性、リガンド修飾ASOなど興味深い内容が凝縮されています。先着90名で無料とのことです。
詳しくは、リンク先をご覧くださいませ。
私も聴講する予定です。興味深いお話はアップしたいと思います。

開催概要
http://nats.kenkyuukai.jp/information/information_detail.asp?id=75043
プログラム
http://nats.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20180115141415-D196054159A27863BC04BA80818C96A2F13E1711BD387E8C4A232F9A8F06E899.pdf





2018年1月7日日曜日

ハンマーヘッドリボザイムカーブ The hammerhead ribozyme curve in the route 25

実家の奈良に帰省中です。奈良への帰省時に利用する自動車専用道路に名阪国道(国道25号)があります。建設された時期が古く、規格が古い道路で、危険な急勾配、急カーブの箇所はその形状からΩカーブと呼ばれています。よく見るとハンマーヘッドリボザイム形状ですよね。核酸をしている人しかわからないんですが。結構危険な道路ですが、季節がよいと気持ちよくドライブできます。